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梵鐘の製作方法

「岩澤の梵鐘」は、岩澤宗徹が創業した梵鐘・銅像専門の鋳造所です。 広隆寺や東映太秦映画村などで知られる、京都太秦の地に70年近くにわたり、国内・海外の寺院に納入された約5000口の梵鐘・銅像制作の実績がございます。


梵鐘の型づくり

中子づくり

岩澤の梵鐘では、クレーン設備等近代化の工法も取り入れつつ、できるだけ古来からの技法を重んじています。
梵鐘の型づくりにしても、天然の山砂と「ハジロ」という粘土汁のみで成型を行っています。
火起こしの際は、松炭と蒔を用いており、梵鐘づくりは、炭割り・薪割り作業から始まります。

炭の大きさ、形によって火加減も左右されるので、決して疎かにできない作業です。また、成型の砂を粒度別に分ける、「土通し」とよばれる作業も大変重要です。


外型づくり

スコップで砂をすくい、サイロに入れ、網目状の「通し」に濾していく。網目の大きさにより、三段階の「真土」とよばれる砂に選別されていきます。
「真土」は「ハジロ(粘土汁)」と混ぜ合わされ、型のもとになっていきます。
このハジロとの配合は、砂あわせとよばれ、極めて難しい作業です。

鋳型は、ハジロの水分を含みすぎると型が崩れてしい、逆に、ハジロの水分が少ないと金属の液体を流し込む際、気化した金属のガス抜きが悪くなり製品不良を起こしてしまいます。
まさに職人の経験と勘に頼る、口伝の作業です。

岩澤の梵鐘では「引き型製法」とよばれる、木型を回転させながら、砂を付け、成型する型づくりを行っています。

型は中子型とよばれる、饅頭型と、上下二段に分かれた外型に分けて、同時並行で製作されます。
中子型は、木型を回転させながら、丁寧にコンニャクとよばれる真土とハジロを混ぜ合わせてできたレンガ状のブロックを積み上げていき製作されます。
外型は回し型を回転させながら、三段階の砂土を塗り固めて成型されます。型に水分が残っている内に木型の文様や銘を鋳型に打ち込みます。
この「打ち込み」の作業は失敗すると、一から型づくりをしなければならず、二度とやり直しのきかない作業です。

梵鐘の型づくり

銅塔婆

できあがった鋳型は燻しながら、松炭、蒔木を燃やし乾燥させ「湯」とよばれる、銅と錫の液体を流し込む、火入れの日を待ちます。火入れの日は製作する寺院の住職 檀信徒の祈念の銅板も溶かし込み、魂が入ります。

半地下に埋め込まれた中子型に外型(下)をかぶせ、その上に外型(上)を積み重ねます。中子と外型のすきまに溶湯とよばれる金属の液体を流し込み、梵鐘の厚みとなります。

型の準備が終わると、いよいよ火入れ(注湯)の作業が始まります。

高温に沸かした銅を転炉から鉄鍋に流し込み、温度の低下を待ち、錫を鉄鍋に溶かしこみます。

和鐘にふさわしい銅と錫の配合は難しく、これが梵鐘の音色の高低を決める大きな条件となります。

かき混ぜた溶湯からテストピースを採取し、銅と錫の詰まり具合を確かめます。確認の後、温度調整の後、鋳型に溶湯を川のように流し込みます。
流し込む温度、速度、様々なタイミングに鋳上がりが影響されるので、二度とやり直しのきかない、緊張の一瞬です。

  • 梵鐘の型づくり1
  • 梵鐘の型づくり2
  • 梵鐘の型づくり3

火入れの翌日、鋳型が外されます。

検音の後、鏨とかなづちでイバリをはがし、研磨の作業を行います。

仕上げについても機械に頼らない手仕事ですので、大変手間のかかる作業です。

また、研磨・塗装が行われますが、それで梵鐘づくりが終わったわけではありません。その後、「枯らし」とよばれる、露天に梵鐘をおく養生作業も欠かせません。

注湯の際、高温になった金属分子を安定させるため、自然の寒暖差に慣らし、音色の調整が行われます。
鋳上がった直後から半年間養生されると、梵鐘の音色に変化があります。こうして約1年間かけて、梵鐘はできあがっていくのです。

養生中の梵鐘

養生中の梵鐘


梵鐘の文字について

筆書きの文字をご希望の方は当社の日展書家による筆文字を梵鐘にお入れできます。

養生中の梵鐘


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